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6. 不動産投資分析の基礎知識❻
NPV(正味現在価値) > 0 であれば投資価値があるとの話をしましたが、今日はその具体例をつかって説明したいと思います。
【例題1】以下の条件の稼働中の賃貸マンションがあるとします。この賃貸マンションは投資すべきかどうか? NPVにより判断してみましょう。
・初期投資額(購入価格) 1億円
・毎年の純収益(家賃収入−運営費) 1千万円
・保有期間 5年
・保有期間終了後の売却予定価格 9千万円
・割引率(期待収益率) 5%
【解説1】
収益価格=1千万円÷(1+0.05)+1千万円÷(1+0.05)2乗+1千万円÷(1+0.05)3乗+1千万円÷(1+0.05)4乗+1千万円÷(1+0.05)5乗+9千万円÷(1+0.05)5乗=1.14億円
NPV=1.14億円−1億円=1400万円>0
NPV>0なので、投資価値はあると判断出来ます。
不動産を購入する際、この不動産が収益性があるかどうかをみる指標の一つがNPVです。
収益性を図るものとしてもう一つIRR(内部収益率)があります。IRRについては次回に説明することに致します。
DCF法における2つの重要な指標
DCF法では、NPV(Net Present Value正味現在価値)とIRR(Internal Rate of Return内部収益率)という二つの重要な指標があります。いずれも、キャッシュフロ-や金銭の時間的価値の考え方が反映された方法であり、基本的には同じ意味を示す結果を導きます。
今日はそのNPV(Net Present Value )について解説いたします。
NPVは、投資家が期待する利回り(期待収益率)以上のリタ-ンを、その投資家がもたらすかどうかを判断する指標です。
具体的には、投資により生み出されるキャッシュフロ-の現在価値(VP正味現在価値)の初期投資との差がNPVとなります。
NPVがプラスであれば、投資家の期待収益率を上回る投資案であることを意味します。
NPV(正味現在価値)=P(不動産の収益価格)-P1(初期投資価格)
NPV>0であれば投資家の期待収益率を上回るリタ-ン
NPV=0であれば投資家の期待収益率と等しいリタ-ン
NPV<0であれば投資家の期待収益率を下回るリタ-ンをもたらすことになり、投資価値はないということになります。
NPVの数値は、この物件が投資家にとって投資価値があるか、ないかの判断材料の重要な数値となる訳です。
次回は、事例を使って具体的に解説いたします。
4. キャップレ-トとバリュ-アップ
今日は、キャップレイ-トとバリュ-アップの関係についてお話したいと思います。
物件購入後にリニュ-アル等により、不動産の価値を上げる(バリュ-アップ)ことで、入居率を高めることや、賃料の下落を将来に渡って抑えることが可能です。
例えば、入居率80%、NOIが5百万円の物件を1億円で購入した場合、キャップレ-トは5%です。
しかし、バリュ-アップによって入居率が上昇してNOIが6百万円になった場合、投資利回りは6%に上昇します。
更に、保有期間中はNOIが6百万円のままで、周辺の物件のキャッブレ-トも5%のままであれば、保有期間後は6百万÷5%=1.2億円と、購入時よりも20%もの物件価格の上昇に繋がります。
このようにバリュアップが劇的な収益性の向上をもたらす場合があります。
2.不動産投資分析の基礎知識❷
今回は、収益性を判断する指標について説明いたします。収益性を判断する指標として単年度で判断する『単年度基準指標』と『一定期間(多年度)の指標』の二つに分かれます。
Ⅰ.単年度基準指標には、NOI(純営業利益)とキャップレイト(総合還元利回り)の数値で判
断します。
ⅱ.一定期間の指標の場合は、NPV(正味現在価値)とIRR(内部収益率)の二つの数値で収益性
を判断します。
次回は、これらの用語の説明を致します。
1.不動産投資分析の基礎知識❶
不動産投資をする上で、どの物件を幾らで買い、最終的に期待利回りは幾らになるかは不動産投資をする者にとって、一番の関心所です。しかし、不動産はどれ一つ同じものはなく、期待利回りや投資額を定めるのに不確定的で、多くのリスクを抱えています。それらのリスクを少しで回避するには、それなりの具体的指標が必要となってきます。
そこで、不動産投資を成功させるために必要不可欠な投資指標が存在します。次の3つは投資を判断する代表的投資指標です。
❶収益性を判断する指標
❷安定性を判断する指標
❸レバレッジ効果を判断する指標
これらの3つが不動産投資を成功させるための指標となります。
次回はこれらのそれぞれその指標を説明したいと思います。